青森県立美術館シアターから実施報告が届きました。
主催:青森県立美術館シアター
開催日:平成29年10月20日(金)~22日(日)、入場者数367名
上映作品: 西鶴一代女、雨月物語、山椒大夫、近松物語
私たちは、青森県立美術館シアターを会場に10月20日(金)~22日(日)の3日間、溝口健二監督4作品の<Aプログラム>を上映しました。各所の協力を得ながら4年目の優秀映画鑑賞推進事業の実施となります。平日の金曜日を含む週末3日間で各作品2回ずつの上映スケジュールや鑑賞料金なども昨年とほぼ同じ体裁としましたが、少しずつこの上映会の認知も高まってきているのか(もちろん溝口監督や作品の力と相まってという前提ですが)、今回は昨年より多くのお客様にご来場をいただきました。
溝口健二監督は、黒澤明監督や小津安二郎監督とともに世界的評価が高く、多くの方に知られた存在であると思いますが、しかしながら一般的な娯楽映画としての魅力も大きい黒澤・小津作品に比べると、溝口健二監督は人間の尊厳や虐げられた女性など重厚的なテーマを内包する作品を、類まれな様式美の中で描くことに長けた監督だと思いますので、敷居が高いように見えるのか、「監督や作品名の知名度」と「実際に作品を観る」ことのあいだに、これまで若干の温度差があったようにも思います(一部アンケート回答からもそれが伺えます)。
鑑賞後の満足度は概ね高く、65年近く前の作品ながら、比較的若い世代のお客さまにも実際に作品に触れていただけたことは、大変喜ばしいことであります。特にこの<Aプログラム>ではヴェネチア国際映画祭で3年連続の受賞となった『西鶴一代女』『雨月物語』『山椒大夫』も含まれており、まさに溝口健二監督作品を未見の方にとっては非常に間口の広いラインナップになっていたと思います。
ただ、今回の<Aプログラム>上映の前週にも自主事業として別な映画上映会を開催したのですが、両上映会とも、30代以下のお客さまを会場まで足を運ばせることに腐心しました。映画を楽しむ時に、必ずしも「劇場」に重点を置いていない世代と言えるのかもしれません。ですので作品の羅列をその世代に合わせるだけではうまく伝わらない部分もあるかもしれませんが、ひとつの方策として優秀映画鑑賞推進事業25プログラム100作品の中に、1990年代後半~2000年代前半あたりの作品も入ってきてもいいのではないかとも思います。引き続き、よろしくご検討いただければ幸いです。
また来年度の上映会の実施についても前向きに考えているところです。お客さまの期待に応えられるような上映会を継続的に展開していきたいです。