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青森県立美術館シアター

青森県立美術館シアターから実施報告が届きました。

青森県立美術館シアター チラシ
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実施概要

主催:青森県立美術館シアター
開催日:平成29年10月20日(金)~22日(日)、入場者数367名
上映作品: 西鶴一代女、雨月物語、山椒大夫、近松物語

アンケートの意見・感想

  • ・白黒、そして今はない原風景、そしてストーリー。すべてがレトロで新鮮だった。
  • ・溝口健二さんの作品は観たことないので、とても良かったです。古い作品なので台詞が全部聞き取れなかったのが残念です。
  • ・溝口健二監督の映画は、とても美しいといつも思います。撮影のカットが芸術的で無駄な映像がなく見逃せず、目を凝らして見入ります。今回、音響も効果的に流れて引き立てていることを納得しました。観終わった後、美しかったと心地よいです。なぜだろうと思いを巡らせます。監督と撮影の感性がそうなのか。どのシーンを切り取っても絵になります。
  • ・フィルムセンターの上映引き続きお願いします。シルバーが多いため、若い人にもいい映画を観てほしいです。中高100円とか出来ないでしょうか。
  • ・生まれた頃の映画。若い頃には感じなかったものが、今、少しではあるが理解できた気がする。
  • ・同年代の俳優たちの熱演に感動しました。30年ぶりに鑑賞の機会を与えてくださいました、この企画に感謝します。ありがとうございました。
  • ・時間をかけ、丁寧にじっくりと作り上げた作品、特に時代劇が観たかったので、とても良かったと思いました。言葉の使い方、仕草も現代とは違いますので、より時代設定が正確に表現され、風景もCGではないリアルさが素晴らしい。俳優さんたちは今時の役者さんにもお手本として参考にしてほしい。
  • ・開映10~15分後の入場は断ってもいいのではないかと思います。
  • ・フィルムの状態がよく、細部まできれいに見えました。『雨月物語』での着物の光沢、焼き物の表面が美しく、まるでカラー作品のように感じました。
  • ・フィルム上映、専属の映写技師がいるのでしょうね。フィルムチェンジもうまい。
  • ・名監督や名作は意外に観よう観ようと思いつつ機会がないので、こういう上映会などで体系立てて触れられるのは本当にうれしいです。4本という作品数も個人的には気楽で良かったです。
  • 昼休みの時間、あと10~15分長くしてほしい。昼食をゆっくり摂りたいので。
  • 大きなスクリーンで観られるのは、とてもありがたく思います。青森には名画座がないので、このような上映は続けていただきたいです。今回はフィルムセンター主催の事業のようですが、美術館で所蔵している映画があるのであれば、どしどし上映してくださるようお願いします。

担当者の感想・要望

私たちは、青森県立美術館シアターを会場に10月20日(金)~22日(日)の3日間、溝口健二監督4作品の<Aプログラム>を上映しました。各所の協力を得ながら4年目の優秀映画鑑賞推進事業の実施となります。平日の金曜日を含む週末3日間で各作品2回ずつの上映スケジュールや鑑賞料金なども昨年とほぼ同じ体裁としましたが、少しずつこの上映会の認知も高まってきているのか(もちろん溝口監督や作品の力と相まってという前提ですが)、今回は昨年より多くのお客様にご来場をいただきました。

溝口健二監督は、黒澤明監督や小津安二郎監督とともに世界的評価が高く、多くの方に知られた存在であると思いますが、しかしながら一般的な娯楽映画としての魅力も大きい黒澤・小津作品に比べると、溝口健二監督は人間の尊厳や虐げられた女性など重厚的なテーマを内包する作品を、類まれな様式美の中で描くことに長けた監督だと思いますので、敷居が高いように見えるのか、「監督や作品名の知名度」と「実際に作品を観る」ことのあいだに、これまで若干の温度差があったようにも思います(一部アンケート回答からもそれが伺えます)。

鑑賞後の満足度は概ね高く、65年近く前の作品ながら、比較的若い世代のお客さまにも実際に作品に触れていただけたことは、大変喜ばしいことであります。特にこの<Aプログラム>ではヴェネチア国際映画祭で3年連続の受賞となった『西鶴一代女』『雨月物語』『山椒大夫』も含まれており、まさに溝口健二監督作品を未見の方にとっては非常に間口の広いラインナップになっていたと思います。

ただ、今回の<Aプログラム>上映の前週にも自主事業として別な映画上映会を開催したのですが、両上映会とも、30代以下のお客さまを会場まで足を運ばせることに腐心しました。映画を楽しむ時に、必ずしも「劇場」に重点を置いていない世代と言えるのかもしれません。ですので作品の羅列をその世代に合わせるだけではうまく伝わらない部分もあるかもしれませんが、ひとつの方策として優秀映画鑑賞推進事業25プログラム100作品の中に、1990年代後半~2000年代前半あたりの作品も入ってきてもいいのではないかとも思います。引き続き、よろしくご検討いただければ幸いです。

また来年度の上映会の実施についても前向きに考えているところです。お客さまの期待に応えられるような上映会を継続的に展開していきたいです。

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