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島根県 平田文化館

島根県の平田文化館から実施報告が届きました。

島根県 平田文化館 チラシ
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実施概要

主催:平田文化館
開催日:平成26年11月24日(月)
上映作品:プログラムF―東京オリンピック 1回

感想

 先日の映画祭で『東京オリンピック』を観させていただいた者です。アンケート用紙の感想欄に感想を書かせていただこうかと思いましたが、欄に書ききれないほどの思いがあり、このような形で失礼いたします。

 『東京オリンピック』という映画は知っておりましたが、観たことはなく、また、観させていただくまでは単なる記録映画だろうと思っておりました。が、カメラアングル、音響の使い方が、とてもすごかった!です。「あっ、こういうアングルから取ると、真正面から撮るより、観る人の観る力を必要としながら、画面に映っている以上のことを伝えられるんだなあ」と思ったりしました。ストーリー的にも単に「東洋で初めて開催されるオリンピック」を明るい、楽しい祭典として捉えるだけでなく、さまざまな条件をかかえた人が過ごした『数日』であったことが表現されていて、「オリンピック」という枠を超えた人間ドキュメンタリーであり、また、いろいろなことを観る人に考えさせているところが洗練された作品だと感じました。この映画の凄さ・・・エンディングロールまで見て、納得しました。昭和を代表する布陣で作られた映画であることがわかりました。否応なしに戦争を乗り越え、その体験から生まれた考えや主張が発信されているような。その意味では、当時にしては賛否両論があった映画ではなかったのではないでしょうか。(賛否両論の意味合いは違いますが、ベルリンオリンピックの記録映画「民族の祭典」に対してのように。)出雲の小さな町平田でも、映画の媒体1本を用意していただけば、このような意味の深い芸術や主張に接することができるのは映画の力だなと感じました。

 また、私事ですが、東京で生まれ育ち、数年前に出雲に引っ越してまいりました。東京オリンピックの開催された時は小学生でした。マラソンが行われた日は仕事着のままの父に手をひかれ、弟は父に肩車をされて、アベベ選手を見たことを覚えています。映画の中でマラソンの場面を観ていて・・・マラソンを見に行った時の父の手の温かさ、家に帰ってから母に「黒人の人は、足がカモシカみたいで、肌もキラキラしててきれいだったよ~」と話したことを思いだしました。また、前半で流れていた音、あれは、各国の旗が掲げられているポールに、ロープが風にゆらされてあたる音(私の勘違いで、違う音でしたらごめんなさい。)がとても懐かしかったです。オリンピックが終わった後も、両親に国立競技場の行事や代々木の体育館にスケートに連れていってもらった時に、いつも、あの、ポールにロープがあたる音を鳴っていました。家族そろって「楽しかったね。何、食べてかえろっか?」「この体育館、面白い形の建物だね~、船みたい。」「これは丹下さんという有名な人がつくったんだよ」「たんげ・・?丹下左膳みたいだね~」と歩いた頃を思いださせていただきました。また、今は国立競技場のすぐ裏のお寺のお墓に眠っている祖父母が、「オリンピックが決まってから、千駄ヶ谷の町は、どんどん工事が始まって、田舎だったところがどんどん開けてね~、騒がしくなってしまったね~」と言っていたことも。

 自分がある時期まで親の愛情のもとで、守られながら、不安など感じることもなく過ごしてきたことを、気づかせてもらったと同時に、改めて親への感謝の気持ちが心にいっぱい満ちました。素敵な映画&時間を有難うございました。

 これからも、「こんどはどんなことを気づかせてもらえるかな~」と出かけさせていただきたく、このような活動が末永く続けられることをお祈りいたしております。

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