1973年 東映
カラー/シネマスコープ/99分
任俠映画に決定的な終止符を打ち、「実録」路線の嚆矢となった傑作シリーズの記念すべき第1作。実際に広島抗争に関わった人物の手記をもとにした原作小説を、深作欣二監督が集団抗争劇としてダイナミックに映像化。敗戦直後から高度経済成長期の広島を舞台に、力を武器にのし上がる広能(菅原文太)を中心に、エゴと復讐心によって終わりなき殺し合いへと進むやくざたちを描く。全5作のシリーズを通して、チンピラから幹部、組長へと暴力組織の階段を上昇していく男を演じた菅原は、トップ・スターの座を確立した。東映京都撮影所に初めて招聘された深作をはじめ、無数の名台詞を生んだ脚本の笠原和夫、『十一人の侍』(工藤栄一、1967年)など集団抗争時代劇の経験をもつ撮影の吉田貞次、そして異様な熱演で応えたキャスト陣など、これ以上ない才能が結集。津島利章による音楽も、映画の文脈を離れてテレビなどでも繰り返し使用される有名なモチーフとなった。