1984年 角川春樹事務所
カラー/アメリカン・ビスタ
モノラル/109分
デビュー作『野生の証明』(1978、佐藤純彌監督)で13歳にして一躍トップアイドルになった薬師丸ひろ子が、感情の微妙な動きまで熟視した長回しによる演出のなかで、大人の役者への新境地を開いた作品。その年の映画賞を多数受賞し、澤井信一郎監督の代表作にもなった。劇団の若い研究生が、看板女優からスキャンダルの身代わりを引き受けたことから、舞台「Wの悲劇」の主役の座を得る。夏樹静子の原作を劇中劇にし、薬師丸ひろ子とヒロイン、ヒロインが演じる劇中劇の少女の三者を重層化した脚本の妙や、蜷川幸雄をはじめ多数の演劇人や芸能リポーターの梨元勝らの登場など、虚構と現実を融合させた濃密な演出が高く評価された。薬師丸ひろ子が歌う主題歌も大ヒットした、1980年代日本映画を代表する一本。