1961年 東宝=黒沢プロダクション
白黒/シネマスコープ/モノラル/110分
ダシール・ハメットのハードボイルド小説『血の収穫』を大胆に翻案、西部劇の手法を取り入れながら、三船敏郎演じる浪人の痛快無比な姿を描いた黒澤明による大ヒット時代劇。舞台は上州、かつて絹市で栄えた宿場町は、清兵衛一家と丑寅一家との抗争で、無法地帯と化していた。そんな宿場に流れ着いた凄腕の浪人、自称・桑畑三十郎は、両家の親分に自らを用心棒として売り込む…。撮影は、東宝撮影所横の農地に巨大なオープンセットを建て、『羅生門』(1950年)以来の黒澤組となった宮川一夫キャメラマンが、複数のキャメラと望遠レンズを駆使し、シネマスコープの画面を意識した見事なフレーミングで、比類のない娯楽活劇に仕立て上げた。海外でも評判を呼び、盗作騒ぎも起きた『荒野の用心棒』(1964年、セルジオ・レオーネ監督)は、主演クリント・イーストウッドをスターへと押し上げるとともに、イタリア製西部劇(マカロニ・ウェスタン)のはしりとなった。「キネマ旬報」ベストテン第2位。