1985年
朝日新聞社=テレビ朝日=日本ヘラルド映画グループ
カラー/アメリカン・ビスタ
ドルビーステレオ/107分
宮澤賢治の代表作である童話のアニメーション映画化だが、主な登場人物を猫に仕立てたますむら・ひろしの異色漫画を原案に、脚本に演劇界の巨人・別役実、音楽にYMO解散後の細野晴臣を迎え、『ジャックと豆の木』(1974)などを手掛けてきた杉井ギサブローが演出を務め、一年半の製作期間をかけて完成させた、1980年代日本アニメーション映画の金字塔。文選工として働くジョバンニは、星祭りの夜、無二の友人カンパネルラと共に、機関車に乗って星空へと旅立つ。多くの乗客との出会いと別れを通して、母一人子一人で育ってきた少年は自らの孤独と向き合い、生き続ける意味を確かめることになる。公開当時、「十年もたつとこれは名作としての生命をよみがえらす」と述べた映画評論家・淀川長治を始め、多くの映画人から絶賛され、読者選出による「キネマ旬報」ベストテンでも第7位に選ばれている。常田富士男による最後の朗読は、宮澤賢治の詩「春と修羅」の序である。