1968年 東映動画
カラー/シネマスコープ/モノラル/82分
メジャー・カンパニーの東映の参入は、日本のアニメーションの製作に大きな変化をもたらした。長篇動画における初の色彩化、ワイド・スクリーンの導入などに連なるこの作品では、ゼログラフィ(原画をセルに直接転写するシステム)が全面的に採用された。もっとも、1965年頃から大量生産されたテレビ・アニメーションへと東映動画内における製作の比重が移りつつあるなかで、技術的な質の低下を懸念するスタッフの熱意もあり、企画から完成までに3年半が経過している。そのスタッフの一員である高畑勲(長篇初監督)宮崎駿(原画及び場面設計)は日本を代表するアニメーション作家となった。反体制的色彩の強いストーリー、少女ヒルダに見られる陰影あるキャラクターなど、このジャンルにおける物語の定型を大きく逸脱しており、ユーモアやギャグの希薄さをめぐる当時の批評からは、この作品が斬新な外観をまとって登場したことがうかがわれる。