忍ぶ川

忍ぶ川

1972年 東宝=俳優座映画放送
白黒/スタンダード/モノラル/120分

解説

三浦哲郎(1931-2010)の自伝的な同名小説(第44回[1960年下半期]芥川賞)を映画化したもので、『帝銀事件 死刑囚』(1964)や『日本列島』(1965)などの社会派映画の監督として名を馳せていた熊井啓監督が、長い準備期間を経て完成させた恋愛映画の秀作。兄の失踪や姉の自殺などを経験して暗鬱な家庭環境に育った東北出身の大学生・哲郎と、深川の洲崎パラダイスにある射的屋で育ち、今は料亭“忍ぶ川”の仲居として働く志乃の純愛物語。二人が出会い、互いの心の闇を打ち明けて信頼し合い、そして幾多の障害を乗り越えて結婚にいたるまでの過程が、叙情的なモノクロームの映像で描かれる。主演の栗原小巻が、優しさと芯の強さをあわせ持つ女性を熱演して高く評価された。「キネマ旬報」ベストテン1位。

スタッフ

原作
三浦哲郎
脚本
長谷部慶次
脚本・監督
熊井啓
撮影
黒田清巳
照明
岡本健一
録音
太田六敏
音楽
松村禎三
美術
木村威夫

出演者

哲郎
加藤剛
志乃
栗原小卷
哲郎の父
永田靖
志乃の父
信欽三
香代
岩崎加根子
哲郎の母
滝花久子
木村幸房
滝田裕介
次兄
井川比佐志