帰郷

帰郷

1950年 松竹(大船)
白黒/スタンダード/モノラル(濃淡型)/104分

解説

原作は、大佛次郎が毎日新聞に連載した長篇小説である。海外を放浪し、無国籍者となっていた元海軍軍人が戦後日本に帰国し、かつて自分を窮地に陥れた愛人や、音信を絶っていた娘に会うが、すっかり様がわりしている日本に失望して、再び去っていく。混乱した復興期の世相を背景に、上質の情感をたたえた作品になっている。同年の『長崎の鐘』や、『君の名は』三部作(1953-54)の大ヒットにより、松竹のエース監督となった大庭秀雄は、同社伝統のメロドラマの作法を十二分に体得した監督であり、心理描写などにたしかな手腕を示した。特に京都の苔寺(西芳寺)の場面は流麗といえるだろう。「キネマ旬報」ベストテン第2位。

スタッフ

原作
大佛次郎
脚本
池田忠雄
監督
大庭秀雄
撮影
生方敏夫
照明
田村晃雄
録音
妹尾芳三郎
音楽
吉沢博
黛敏郎
美術
浜田辰雄

出演者

高野佐衛子
木暮実千代
守屋恭吾
佐分利信
娘 伴子
津島恵子
隠岐節子
三宅邦子
夫 達三
山村聡
牛木利貞
柳永二郎
高野信輔
徳大寺伸
憲兵曹長
三井弘次
小野崎公平
日守新一
岡部雄吉
高橋貞二
岡村俊樹
市川笑猿
お種
坪内美子