1960年 大映(京都)
白黒/シネマスコープ
モノラル(濃淡型)/91分
盲目の按摩・杉の市が、悪行の限りを尽くして地位と富を手にした末に、縛に就くまでを過激に描いた時代劇。主演の勝新太郎は、1954年に端正な顔立ちの二枚目役者としてデビューしたが、大きなヒット作に恵まれずに不遇をかこっていた。しかし本作において、勝は容赦のない悪漢を見事に演じきってみずからのスターイメージの転換に成功し、日本映画に新しい「異端のヒーロー」像を生み出した。本作における勝のヒーロー像は、2年後からはじまる「座頭市」シリーズに引き継がれて勝の生涯の当たり役となったほか、田宮二郎とのコンビで人気を博した「悪名」シリーズや、「兵隊やくざ」シリーズへと発展してゆく。本作で共演した中村玉緒は1962年に勝と結婚した。