1962年 大映(京都)
白黒/シネマスコープ
モノラル(濃淡型)/96分
勝新太郎の終生の当たり役となった「座頭市」シリーズの第1作。『不知火検校』(1960、森一生監督)で悪事を尽くす盲目の按摩を演じて新境地を開いた勝が、僧形のやくざで盲目の居合斬りの名手・座頭市を見事に体現し、以後26作に及ぶ映画シリーズの原型を築いた。原作は子母沢寛の随筆集に収められた短篇で、『不知火検校』を担当した犬塚稔が、天保水滸伝を下地に平手造酒と座頭市の心の交流を軸とする脚本に仕上げた。切れの良いアクションとともに座頭市の悲哀と怒りを全身で表現した勝新太郎と、座頭市が惚れ込むニヒルで孤高の浪人を演じた天知茂のクールな魅力が炸裂。監督の三隅研次と撮影の牧浦地志が、陰影に富んだモノクロームの映像で孤独なアウトローの世界を描き切った。下総利根川流域の飯岡助五郎親分のもとで草鞋を脱いだ座頭市は、客分扱いで過ごすうちに、病身の浪人・平手造酒と知り合い、心を交わしあう。ところが平手は飯岡一家の宿敵・笹川繁造親分の食客であった…。