五瓣の椿

五瓣の椿

1964年 松竹(大船)
カラー/シネマスコープ
モノラル/163分

解説

山本周五郎の同名小説を井手雅人が脚色し、川又昻が撮影、野村芳太郎が監督にあたった文芸大作。父の恨みを晴らすために、好色な母と関係した男達を誘惑し、一人ずつ殺害していく娘おしのの復讐を描く。その男たちは、三味線引きの蝶太夫、婦人科医、札差屋の伜、芝居茶屋の出方、袋問屋の主人とさまざまだが、死体の傍らにはつねに一輪の椿が残されていた。この陰惨な物語を、岩下志麻は内に気丈さと気品を湛えた演技で好演し、代表作の一つとした。また、この作品の場合、松竹映画を支えてきた技術陣の力も見逃すことはできない。とくに、主人公の心理描写に赤、白、黒の色彩を効果的かつ象徴的に用いた独自の撮影は、川又昻カメラマンの力量を発揮したものであった。

スタッフ

原作
山本周五郎
脚色
井手雅人
監督
野村芳太郎
撮影
川又昻
照明
三浦礼
録音
栗田周十郎
音楽
芥川也寸志
美術
松山崇
梅田千代夫

出演者

おしの
岩下志麻
岸沢蝶太夫
田村高広
海野得石
伊藤雄之助
むさし屋喜兵衛
加藤嘉
おその
左幸子
菊太郎
入川保則
青木千之助
加藤剛
香屋清一
小沢昭一
佐吉
西村晃
丸梅源次郎
岡田英次
お孝
山岡久乃