1967年 東宝
白黒/シネマスコープ/モノラル/157分
1945(昭和20)年8月14日正午、御前会議によるポツダム宣言受諾の決定から、翌日正午の天皇による玉音放送にいたるまでの一日を描き、「大宅壮一編」として出版された半藤一利のノンフィクションを原作に、東宝がその前身となる写真化学研究所(P.C.L.)のスタジオ建設から35周年を記念する作品として映画化。橋本忍の脚本を得て、岡本喜八監督が日本映画界を代表する男優陣総出演ともいえるキャストを、メリハリのある演出でさばき、日本映画史に一ページを画する大作に仕上げた。天皇による詔勅の文面が決定されるまでの前半は、陸相と海相とのやりとりに見られる緊迫した言葉のドラマを軸に展開され、後半は一転、終戦を阻止しようとする陸軍青年将校らによるクーデター計画を中心に、厚木航空隊、横浜警備隊の動きを絡ませながら、怒涛のようなテンポによる活劇が繰り広げられる。天皇が詔勅を録音するシーンと厚木基地での出撃場面のカットバックなど、戦中派である岡本のやるせない思いが細部にまでしみわたり、先の見えない国難に戸惑う者たちの心情が観る者の胸に迫ってくる。本作の成功により、東宝は以後6年間に亘り、「8.15シリーズ」と称した戦争映画を連作、岡本も1971年に再び大作『激動の昭和史 沖縄決戦』を手がけている。「キネマ旬報」ベストテン第3位。