1949年 藤本プロ=東宝
白黒/スタンダード/モノラル/計172分:90分+続82分
戦後間もない時期に、その明朗な雰囲気で大ヒットし、主題歌として歌われた「青い山脈」と「恋のアマリリス」も歌謡史上で記憶されるものである。転校してきた女子学生をこらしめるため、いたずらで出したラブレターが思わぬ事件に発展し、封建的な因習が残る地方の小都市は大騒ぎになる。戦後民主主義の理念であった自由恋愛や、女性の自立・解放といった命題が、明朗で快活なユーモアのうちに描かれている。理想に燃える知的な女教師に原節子が扮し、俗物をきどる青年校医に思わず平手打ちを加える一方、女子生徒の杉葉子は海岸で健康で伸びやかな肢体を見せつつ、屈託なく男子学生に自分の恋愛感情を叫んでみせる。芸者に扮した木暮実千代も負けじとばかり地方ボスに反逆し、まさしく新時代の到来を告げるものであった。この原作は『青い山脈'88』(1988)を含めて5回映画化されている。「キネマ旬報」ベストテン第2位。