浪華悲歌

浪華悲歌

1936年 第一映画
白黒/スタンダード
モノラル(濃淡型)/72分

解説

大阪の製薬会社で電話交換手として働くモダンガールのアヤ子(山田五十鈴)が、家族の経済的苦境を救うため、恋人がいるにもかかわらず、言い寄ってきた社長の囲われものとなるが…。家族や恋人のために自己犠牲を行った末に、その自己犠牲が報われる物語がメロドラマだとすれば、本作におけるアヤ子の自己犠牲的な行動は、最後まで報われることはない。本作の見所は、男たちの欲望と卑劣さと弱さの餌食になって転落していくアヤ子の姿を、徹底的に冷ややかな視線で捉えた溝口健二の演出にあるだろう。1930年に映画女優としてデビューした山田五十鈴は、本作で厳しい溝口の演技要求に応えて大女優へと飛躍し、同じ年に再びコンビを組んだ『祇園の姉妹』と合わせて、二人の代表作とした。「キネマ旬報」ベストテン第3位。

スタッフ

原作
溝口健二
脚色
依田義賢
監督
溝口健二
撮影
三木稔
照明
堀越田鶴郎
録音
加瀨久
水口保美
美術
久光五郎
木川義人
岸中勇次郎

出演者

村井アヤ子
山田五十鈴
惣之助夫人すみ子
梅村蓉子
医師夫人さだ子
大久保清子
麻居惣之助
志賀廼家弁慶
株屋藤野喜蔵
進藤英太郎
麻居店員・西村進
原健作
刑事・峰岸五郎
志村喬