お引越し

お引越し

1993年 読売テレビ放送
カラー/ヨーロピアン・ビスタ/モノラル/124分

解説

大胆なカメラ移動を駆使しながら各カットを長く撮る独特の「映画術」で知られる相米慎二監督は、『ションベン・ライダー』(1983)や『台風クラブ』(1985)など、少年少女たちの不安定な心理や生活世界をその技法で巧みに演出し、1980年代以降の日本映画を代表する映画作家となった。この映画では、やがて離婚するために別居に入った両親を持つ小学6年生の少女レンコをめぐって、彼女が感じる心の葛藤や、新しい自己を見い出してゆく過程がみずみずしく、またラストシーンでは自我に目覚めた彼女の内面が幻想的に描写される。日本映画の大きなテーマの一つである「家族」の解体と再生の物語に、相米監督はまったく新しいアプローチから挑み、1990年代における家族像の「現在」を浮き彫りにしている。撮影面では、ハリウッド映画の経験もあり、後に大島渚監督の『御法度』(1999)でも技量を発揮したカメラマン栗田豊通がその力強い画面作りに貢献している。「キネマ旬報」ベストテン第2位。

スタッフ

原作
ひこ・田中
脚本
奥寺佐渡子
小此木聡
監督
相米慎二
撮影
栗田豊通
照明
黒田紀彦
録音
野中英敏
音楽
三枝成彰
美術
下石坂成典

出演者

漆場レンコ
田畑智子
父 ケンイチ
中井貴一
母 ナズナ
桜田淳子
布引ユキオ
田中太郎
大木ミノル
茂山逸平
高野和歌子
須藤真理子
木目米先生
笑福亭鶴瓶
橘理佐
青木秋美
砂原老人
森秀人
砂原節子
千原しのぶ