ぼんち

ぼんち

1960年 大映(京都)
カラー/シネマスコープ
モノラル(濃淡型)/104分

解説

原作は、山崎豊子が「週刊新潮」に長期連載をした小説であり、原作者が得意とする大阪の商人ものの一編である。舞台は大阪・船場。四代続いた裕福な足袋問屋の一人息子が、女系家族の中で甘やかされ、それゆえに悪戦苦闘する姿が、多彩な女性関係を中心にして年代記風に描かれている。映画では、60歳近くになった主人公が、戦争による苦難をようやく乗り越え、家の再建を図ろうとするにあたり、昔のあれこれを回想するという形式が採られている。そこに登場するのは、自分を溺愛した祖母や母のみならず、これまで関係したさまざまな女性たちである。彼女らを演じるのは、ベテラン、演技派、若手まで、みな当時を代表する個性的な映画女優であり、その競演が一つの見どころであると言えよう。また、主演の二枚目時代劇スター・市川雷蔵は、市川監督の『炎上』(1958)で初めて現代劇に出演、その演技力が注目されたが、本作では老け役に初挑戦している。

スタッフ

原作
山崎豊子
脚本
和田夏十
脚本・監督
市川崑
撮影
宮川一夫
照明
岡本健一
録音
大角正夫
音楽
芥川也寸志
美術
西岡善信

出演者

喜久治
市川雷蔵
仲居頭 お福
京マチ子
芸者 ぽん太
若尾文子
女給 比佐子
越路吹雪
仲居 幾子
草笛光子
喜久治の妻 弘子
中村玉緒
母 勢以
山田五十鈴
父 喜兵衛
船越英二
祖母 きの
毛利菊枝
内田まき
北林谷栄
春団子
中村鴈治郎